術後肥満
3.3, 2015
前回の続き 入院編最後です。
全身麻酔って感覚が戻るのに少し時間がかかるようだった。なんか体と意識がホワホワしてて記憶もあんまり定かではない。
ただ僕も覚えていないけど、集中治療室では心配して様子を伺ってるヨメに
「・・めっちゃチ○コ見られる・・・めっちゃチ○コ見られる・・」
と呪詛のようにつぶやいてたらしい。どうやら僕は痛みや生命への危機感より羞恥心の方が勝っているようだ。
つくづく器が小さくてイヤになる。
眠りから覚めて気がつくと口にはまってたでっかい管は取れ、眠ってまた気がつくと体に入ってるチューブが抜かれと
徐々に体への配線が少なくなっていく。
少し言葉を発するようになり、腹も減ってきた。「腹減った」と言うと、オカンが目に涙をためて笑った。
手術はうまくいったみたいだ。もともと症例が多く、確立された手順での手術だったので成功率も高いものらしい。
とはいえ、胸を開いて、心臓を一回取り出して、止めて、中開いて、縫って、また戻して再度動かすって手術はなかなかなもんだと思う。
手術のあとは胸の真ん中に30cm程の切った後が残った。最近は傷を縫ったりはせず、透明のガムテープみたいなのを傷の上からぺたっと貼ってあるだけ。このまま抜糸もないそうだ。
2日程集中治療室にいて、3日目には一般病棟へ移った。その際にまた股間を若い女性看護士に洗浄されたけど、もう羞恥心はなくなってた。
そしてすぐにリハビリが始まる。心臓というのは筋肉の塊で、手術してすぐに動かしたほうが良いらしい。
術後の入院期間は朝と昼過ぎにリハビリ室に通い、なんかへんな体操とウォーキングとエアロバイクで運動した。
手術したばっかりで大丈夫かと思うくらい運動させられた。
リハビリには僕と同じような病気で開胸手術をした患者さんが沢山いて、各々リハビリをこなしている。
毎日のウォーキングで何人かのリハビリ仲間ができた。とはいっても全員70代~80代のおじいさんである。
リハビリ仲間達の歩くペースは遅かったけど、僕も話し相手が欲しかったのでペースをおじいさんに合わせて歩いた。
歩きながらいろんな話をした。そのなかでもお互いの病気の発生した状況話や今後の治療話は盛り上がった。
リハビリ仲間のほとんどが救急で運ばれてきた人達だったけど、心臓疾患前にある症状が僕も含め全員で現れた事がわかった。
ある症状・・それは「冷や汗」。
緊張してるわけでもなく、暑いわけでもないのに汗が吹き出して体がヒヤッとするのが続く症状。
夜中にパックをした女の人や松崎しげると出会ったり、携帯を奥さんや恋人にじっくり見られたり、便意をとてつもなく我慢してたりしてないのに冷や汗。
もしも現れたら何らかの異常かもしれません。我慢せずに救急車呼んどけ。
そんなリハビリを1週間ほど続けて僕は退院することに。心臓手術で1週間の入院ってのは短くて驚いた。
退院前日、病室に先生がやって来て、胸の傷に貼られた透明のガムテープみたいなやつをペリペリと剥がして傷口を確認し、
「うん、キレイ」と褒めてくれた。
傷口は若い(42歳でも若いらしい)と回復力があるので傷口が盛り上がりあまりキレイにならないそうだ。
僕はまぁまぁキレイな部類で、一番キレイなのは「痩せたおじいさん」だそうだ。
こんな感じで僕は無事に退院した。生まれて初めての入院。そして生死について考えた日々。
得たものは入院するとみんなやさしいねって事と「完全禁煙」と食欲・物欲・性欲と全ての欲が向上した事。
「欲」については人間いつ死ぬか本当にわからないものだなって思ったときに、我慢するこたぁないなぁって事で貪欲になったのかと。
そんなんで退院後めっちゃ食べてゴロゴロして働かず、ネットで物欲爆発させてたら、めっちゃ太った。
最近はちょっとおどけた感じで「わぁ心臓止まるわ~!」ってのが持ちネタ。周りは全然笑ってくれず心配されます。
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